犬のおもちゃ(デンタルケア?)用の骨を準備していて、思うところがあったので書き残します。
これはエゾシカの後脚、膝から踵の部分です。私の場合、獲ったシカをアキレス腱のところにギャンブレル(gambrel, 四足獣をぶらさげるハンガーのような道具)を通して物置に吊り、解体します。踵から先はいらないので、解体前に切断します。画像にある後脚は、上から脛骨(スネの骨、一番長い)、距骨、踵骨の3つの骨からなっています。画面右下に飛び出しているのが踵の部分で、ここにアキレス腱が付着しています。踵から先の指の部分(切断されています)は画面左側へつながるわけで、つまり画面左が前方です。
踵骨(しょうこつ、calcaneus)も距骨(きょこつ、astragalus)も特徴的な形をしています。とはいえ、骨はどれも特徴的な形をしているんですけどね。この足首関節を形作る小さな骨は、スネやモモの骨より丈夫で、風化しにくく、他の骨が朽ちたあとにも地中から見つかることがあります。
特にこの、丸っこい距骨 -アストラガラス- はサイコロの原型とも、通貨の原型ともいわれます。サイコロはのちにゲームのアイテムになりましたが、もともとは神事、占いに使われたものです。もっとも、シカのものが特別というわけではなく、ウシやヒツジ、ウマなど家畜として身近な動物のそれが広く使われたようで、古代ヨーロッパ、中国、北米先住民の遺跡からも頻繁に出土するとのことです。
左がエゾシカ、右がバイソンの距骨です。小さく見えるエゾシカの骨もオス成獣の体重120~130㎏はあった個体のものですので、バイソンがいかに大きいかわかります。このバイソンの骨は化石です。私はかつてアラスカ大学(UAF)の修士課程にいたのですが、大学のあるFairbanksの周辺は永久凍土から様々な化石が出てきます。当時の哺乳類学実習で見つけたのがこれです。
うちの犬はシカのあばら骨はバリバリと食ってしまいます。大腿骨や脛骨はさすがに時間をかけて齧っていますが、この距骨や踵骨は齧っても割れないので、もっぱら咥えては投げ上げて、おもちゃとして遊んでいます。
明日3月26日、ネットショップを開店します。距骨と踵骨は、最初のお客さんたちにおまけであげようかと思っています。興味のある方は、のぞいてみてください。
Wilderness Design: https://wdnsdesign.base.shop/
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