Foxfire

The Foxfire Book. Edited by Eliot Wigginton and his students. 1972. ISBN 0-385-07353-4

1966年、アメリカ。ジョージア州北部、アパラチア山脈沿いの小さな町で、やる気のないクラスを受け持った新任高校教師が打った苦肉の策。地元住民の知識、経験、知恵を聞き取って雑誌にまとめる、という小さなプロジェクト。高校生はその雑誌を「Foxfire magazine」と名付け、町民から集めた寄付金で初版600冊を発行し、たちまち売り切った。その後の紆余曲折を経て雑誌プロジェクトは成長・継続し、国内、国外に購読者を持ち、現在は「Foxfire基金」が母体となり、高校生の夏期講習として雑誌の取材や発行を続けている。上の画像は、その雑誌からの作品集の1巻目で、1972年に発行された。

ちなみに「Foxfire」とはアパラチア山脈に見られる夜光性の菌類数種の俗称。画像の本の裏表紙には「lichen (地衣類)」とあるが、地衣類は菌類と藻類の共生体とされており、あながち間違いではない。また、アウトドア用品ブランドの「Foxfire」は、この同名のプロジェクトにあやかって命名されていることが、同ブランドのHPに書かれている。

Foxfireが記録したのはアメリカ開拓民の生活の知恵だ。電気も自動車もない時代、人力工具のみで原生林を伐開し家を建て、衣食住を満たした。そんなシンプルで厳しい生活にも、人は花を愛で、ユーモアを持ち、道具類や衣類に遊びやアートを取り入れ、鳥の声や歌を愛した。それはアメリカ開拓民に限らず、世界各地の異なった環境に暮らす人々がそれぞれに蓄えた知恵で文化だ。そしてそれらの人類の知恵、文化、遺産が、これまた世界各地で、社会の変化とともに失われつつある。

アメリカでは「Homesteading」、日本では自給自足など、そうした先人の文化への回帰、実践が、ブームや趣味を超えた生き方として、一部のコアな人々を引き付けている。

私もそんなひとりだが、ライフラインも自給自足するようなハード路線を求めてはいない。生活には現金が必要だし、そのためには自分の時間を投資して収入を得なければならない。仕事には車が必要で、PCやインターネット環境も必要だ。

私にできることは、失われつつある先人の知恵のうち、私が関わる縁を得たごく一部を自分のスキルとすることと、身につけられなければ少なくとも記録することだ。

これまでブログに何を書くか、誰に向けて書くのか、自分のなかであいまいだった。仕事の一環とするのか、プライベートも含めるのか、迷っていた。今後は明瞭だ。自分の記録として書く。自分の思う生き方に関する備忘録として、また失われつつあるスキル・文化の自分なりの解釈を記録する場として、書き残していくこととする。

合同会社ウィルダネスデザイン代表。
犬の首輪、犬用エゾシカ干し肉、
骨などを扱っています。
ネットショップを開設しました。
-> Wilderness Design       
 https://wdnsdesign.base.shop/

狩猟採集、DIY、料理が好きです。

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