ふだん私が食べているシカ肉レシピを公開します。まずは定番、背ロースを使ったステーキです。
背ロースとは、背骨の左右にある長い筋肉で、牛や豚ではロースと呼ぶ部位です。ヒトでいう脊椎起立筋ですね。ヒトの場合あまり筋肉量はありません。
昨年12月に獲ったオス1才(1本角)の背ロース。半分に畳んで冷凍してあったものを冷蔵庫で一晩解凍します。約1.5キロありました。
分厚く切ります。家族3人の夕食用。この状態でまた一晩冷蔵庫に放置し、解凍をすすめます。
残りは2㎝ほどの厚さに切って、シカカツ用とします。カツにレシピはいりませんね。解凍時と同様、スノコを使って肉がドリップに浸らないようにします。
一晩経つと、このくらいはドリップが出ます。ちなみに、このドリップは血液ではありません。血液なら、すぐに凝固します。ドリップは細胞中に含まれる水分にミオグロビンというタンパク質が溶け込んだものです。ミオグロビンは筋肉中での呼吸(酸素運搬)に関わり、持久力の高い動物の筋肉に多いとされています。うまみ成分でもあり、ドリップが出すぎないよう0℃あたりでゆっくり解凍するのがよいとされます。
やっとここから料理っぽくなります。肉重量1%の食塩とローズマリーを加え、肉全体が浸るようオイルを注ぎ、空気を抜いて保存袋に入れます。これで半日冷蔵庫に放置。
さて、本番です。60℃のお湯を用意し、袋ごと肉を浸します。油を節約したコンフィの要領です。我が家では鍋布団に包んで保温し、肉の内部温度43℃を目指します。ざっくり30~40分。
30分で足りず、時間がないので湯煎。無事43℃達成。肉の余分な油分・水分をペーパータオルで拭き取ります。
新しく熱したオイルで表面を炙ります。通常のステーキは、表面に焼き目をつけてから中にじっくり火を入れるのが定石ですが、このレシピは先に低温調理(まあコンフィ風ですが)で火を入れてから表面を炙るので“リバースシアー“と呼ばれます。あとから炙る分、焼き目がべちゃっとならず、気に入ってます。この炙りはあくまで焼き目をつけるのが目的で、焼き過ぎは禁物。内部温度50℃で火から出し、用意したアルミホイルに保温します。50℃以上に熱された外側の肉の温度が内部に伝わり、5~8分で内部温度は54℃前後に到達します。
炙りの火が強すぎたか、気持ちミディアム寄りに仕上がりました。セルフで分厚く切って食らいつきたいところですが、息子の乳歯がぐらついているので親切に薄くスライスし、大皿に盛るのが我が家の定番です。
ニンニク・しょうゆ・赤ワイン・砂糖のソースをかけて完成。ソースはいろいろ試しましたが、付け合わせの温野菜との相性も含め、これに落ち着きました。写真を撮りながらの調理はあわただしかったのですが、ほぼ狙った通りの満足な仕上がりです。うちの夕食には500gではやや不足、次回は700gくらいを作ります。
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